1. HOME
  2. テックブログ
  3. EC企業はなぜCRMツールの導入で失敗するのか? 〜よくある失敗例とその対策〜

EC企業はなぜCRMツールの導入で失敗するのか? 〜よくある失敗例とその対策〜

初めまして。2023年3月より、株式会社ファブリカコミュニケーションズに事業譲渡したEC通販向けCRMツール「アクションリンク」開発者の中村隆嗣です。

私は今まで、EC事業のマーケティング戦略責任者やEC事業のコンサルティングなど、長年EC事業に携わってきました。その経験を活かして、今回は「EC企業はなぜCRMツールの導入で失敗するのか?」についてお話しします。

皆様もご存知のとおり年々拡大を続けているB to C EC市場ですが、市場規模だけではなくEC事業者も年々増加し競争が激しくなっています。

そのような状況下でEC事業者に今最も注目されているのは、新規顧客の獲得ではなく顧客との関係を強化しリピート売上を拡大するためのCRMの取り組みです。

しかしながら既存顧客と精度の高いコミュニケーションを取ろうと、せっかくCRMツールを導入してもうまく活用できず失敗しているケースが多く見られます。

本記事では、その主な要因と失敗を防ぐための方法について解説します。

1.不適切なツール選択

最初の失敗要因は、EC企業が自社のニーズに適合していないCRMツールを選択することです。

CRMツールというと世の中の大部分のツールはB to B 向けの営業支援システムとしてのCRMツールやB to C向けの汎用ツールが占めています。
こういったツールを導入してしまうと導入前に想定していた施策や分析を実行することができず失敗につながります。

またEC向けのCRMツールを選択したとしても、ツールの機能が煩雑すぎるか、逆に必要な機能が欠けている、機能はあっても設定工数がかかり過ぎるなど、企業の要件とツールの適合性を十分に評価せずに導入してしまうことがあります。自社のやるべきこと、やりたいことや運用能力に合ったツール選択が必要です。

対策

まず自社の要件(目的や実施したい施策や分析内容とその優先度、運用体制や運用者の能力)を明確にし、そのための機能はあってどのように操作すればよいのか、自社で活用できるのかCRMツールのデモを見て確認するなど、詳細な比較検討が必要です。

自社で要件の定義ができない場合、それが可能なPM(プロジェクトマネージャー)やコンサルタントを入れるか、もしくはツールベンダー側でその役割が可能なのかを判断しましょう。

2.データ品質の問題

CRMツールではデータを活用することで効果的な戦略を立てたり施策の実行を進めますが、基となるデータ品質の問題がある場合、予定していた施策や分析を実行できなかったり、分析結果から誤った判断を導くことになります。

重複したデータ、欠損したデータ、不正確なデータ、使い道のない不必要なデータなどが、CRMツールのパフォーマンスを低下させることがあります。
インプットがゴミであればアウトプットもゴミになってしまうばかりでなく、不要なデータの保管に余計なコストが発生してしまいます。

対策

データ品質の向上に努めることが重要です。データの整理・洗浄を行い、重複を削除し、欠損データを補完する、施策や分析に不必要なデータや古いデータの削除など、信頼性のあるデータベースを構築しましょう。
またやりたいことを明確にしたうえでそれに必要なデータは何なのかを事前に検討するか、知見のあるツールベンダー側の意見を参考にしましょう。

3.不十分なトレーニングとサポート

CRMツールを導入する際に、運用担当者に適切なトレーニングやサポートが提供されないと、失敗の原因となります。
担当者がツールの機能や使用方法を理解していないと、本来の効果を得ることが難しくなるためです。
EC事業者の場合、CRMの知見が十分にない担当者が他の業務と兼任で割り当てられるケースが多いため特に注意が必要です。

対策

導入前にトレーニング計画を立て、担当者がツールを適切に活用できるようにします。定期的なフォローアップや質問対応を行えるようにし、従業員が安心して使える環境を整えましょう。

4.チームの協力不足

企画、制作、分析など複数人が役割分担してCRMに関わる場合、CRMツールを活用し成果を出すためにはチームの理解と協力が必要です。
チーム全体がCRMに対して理解を持たない場合、ツールはうまく活用されず、成果を上げることが難しくなります。

対策

導入前にチーム全体に対してCRMを推進していくべき目的や背景、ゴールイメージなどとともにCRMツールの重要性と利点を共有し、導入後も定期的なミーティングやフィードバックセッションを行い、チームの協力意識を高めることが重要です。

また担当者が一人で運用する場合でも、上司や経営者のCRMに対する理解は必要不可欠です。
導入前だけでなく導入後においても日頃からCRMに取り組むべき意義や成果などを共有しておかなければ、理解不足によって、せっかく成果が出ているのにツールの利用を止める、といった間違った判断をされかねません。

5.ROI(投資対効果)の見極め

CRMツールの導入にはコストがかかりますが、それに見合う成果が得られない、もしくは成果があいまいだった場合、企業は失敗したと感じるでしょう。
評価方法やROIの見極めが不十分なまま導入してしまうとツール導入に失敗する要因となります。

対策

導入前にROIの計算や評価方法の検討を行い、導入後も定期的に評価を行いましょう。

ツールの適正な活用や改善点を把握し、必要に応じて戦略の見直しを行います。KGIでいうとCRMツールの導入によって実現できた施策によってどの程度の売上と利益があがったか、また今後どういった取り組みでどの程度の成果を期待できるか、またKPIではLTVやリピート率など、事業全体観点の課題となっているKPIに対しどういった成果が出たか、それに対しCRMツールの導入や利用継続にかかる費用は適切なのかの評価が必要です。

まとめ

CRMツールの導入においてEC企業が失敗する要因は、

  • 不適切なツール選択
  • データ品質の問題
  • トレーニング不足
  • チームの協力不足
  • ROIの見極めの欠如

などが挙げられます。
これらの要因に対処するためには、慎重な計画と準備、データの品質向上、チームの理解と協力、継続的な評価と改善が必要です。

CRMツールを成功裏に導入し、EC企業の成長につなげるためには、これらの要素をしっかりと把握し、継続的に対応していくことが不可欠です。

ファブリカコミュニケーションズで働いてみませんか?

あったらいいな、をカタチに。人々を幸せにする革新的なサービスを、私たちと一緒に創っていくメンバーを募集しています。

ファブリカコミュニケーションズの社員は「全員がクリエイター」。アイデアの発信に社歴や部署の垣根はありません。

“自分から発信できる人に、どんどんチャンスが与えられる“そんな環境で活躍してみませんか?ご興味のある方は、以下の採用ページをご覧ください。

◎ 新卒採用の方はこちら
◎ キャリア採用の方はこちら

この記事を書いた人

中村 隆嗣
インターネットサービス事業本部 アクションリンクチーム
中村 隆嗣

おすすめの記事