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ゴリゴリのダークパターンばっかのダミーサイトを考えてみた

事の発端は上記の通り、ユーザーを騙すためのデザイン『ダークパターン』と呼ばれるものがあることをTwitterで知り、興味を持ちました。

ダークパターンとは?

ダークパターン(Dark pattern)は、「購入時に保険に入会させたり、定期的に支払わせたりするなどの、ユーザーを騙すために慎重に作られたユーザインタフェース」。

Wikipediaより引用

ダークパターンとは、ユーザーにわからないように故意にだます目的で作られたユーザーインターフェース(UI)やそのデザインのこと。ユーザーが意図せずに同意や誤解をしてしまったり、意図せず商品購入やコンバージョンに至ってしまい、またそのキャンセルも困難であったりするもの。

ユーザーの心理を理解してデザインされているが、企業側の利益が優先されているためにユーザーの利益にはならない。

例えば、サービスの無料トライアルから本契約に移行する際に、ユーザーにその時期を気付きにくくさせたり、キャンセルしにい、または意図せず本契約をさせたりするようなユーザーインターフェースや表現などが挙げられる。

ダークパターンは短期的な利益にはつながることはあるが、ユーザーからの信頼を得にくいため、長期的視点ではネガティブな効果となる。

ダークパターンはUIデザイナーのHarry Brignull氏によって提唱され、「DarkPatterns.org」にて事例がまとめられている。

シマウマ用語集より引用
https://makitani.net/shimauma/dark-pattern

ということで、興味深いダークパターンから学べるポイントは無いのかを測るために、反面教師としてあえてダークパターンをゴリゴリに使ったダミーのWebサイトを考えてみるとしたら、どんな感じになるのか。

とりあえず設計書もどきを書いてみます。

企画書

1 企画概要

【目的・意図】短期間で高いコンバージョン率・利益率を達成できるようなダミーサイトの開発。

【成果・目標】どんな手段を使っても良いので、とにかく競合他社よりも高いコンバージョン率・利益率を目指す。

2 スケジュール

1日で作れ!!

3 概要設計

サイト名:『ダルマ選びドットコム』

コンセプト:古今東西から仕入れてきたダルマを広めるべく、できるだけたくさんのユーザーに買ってもらうことで高い収益を見込む。

ダルマ専門のショッピングサイトは他に例を見ないが、大手ショッピングサイトではなくあえてここを見に来たユーザーを逃さないためにコンバージョン率を高く設定したい。

流入も少ないだろうと予想されるので、運営資金を稼ぐためにも利益率を上げたい。

競合他社の例

ダークパターンで考える施策例

① 期間限定クーポンの発行

はじめてサイトに来たユーザーに対して、期間限定で半額になるクーポンを表示する。
商品購入画面ではタイマー表示は邪魔となるので非表示となる。
上記以外にもランダムで期間限定で何%か割引になるクーポンを表示するが、仕様は同じである。

◆コンバージョン&利益に繋がる要因

  • 期間限定のクーポンを用意することでユーザーにお得だ!と思わせる
  • 期限を設定することで、ユーザーへ購入を焦らせる

◆ユーザーが騙される&不利益に思われる要因

  • タイマー表示が非表示になるためユーザーが残り時間を把握できない
  • 購入が完了する頃合いにはクーポンの時間が切れるような時間配分に設定してしまうことで、実質的にクーポンで得したと思ってるユーザーは騙される

② 追加で高額商品をおすすめする

ユーザーがカートに入れた後、追加で購入を誘うような圧力をかけるアクティビティメッセージを表示する。

貴方が今購入しようとしたダルマよりももっとリッチなダルマを購入してみませんか?


『メタルダルマ ¥4500』今すぐ購入

★この価格は期間限定です!

◆コンバージョン&利益に繋がる要因

  • より高額な商品を買ってもらう機会を増やすことで、利益率を高める

◆ユーザーが騙される&不利益に思われる要因

  • 意図せずユーザーが選択した商品よりも高額な商品を買わされてしまう
  • 最初の商品はカートに入ったままなので手間である他、そのまま重複して購入してしまう可能性がある
  • 期間限定価格と称しているが、実は定価と変わりが無かった

③ 購入された商品を表示

商品の合間に購入者情報とその口コミ情報がアトランダムで必ず表示される。
このメッセージをクリックするだけで、勝手にその商品がカートに追加される。

林田 有司さんが『おだんごだるま ¥12000』をメキシコで24セット注文しました!!!


「This product is so crazy that I can’t stop crying!!!」

★在庫あとわずかです!急いで!!!

◆コンバージョン&利益に繋がる要因

  • 口コミ情報を見せることで他の人も購入してるんだと思わせる
  • 他の商品をよりよく見せて購入させることで単価を上げる
  • 在庫がわずかと称して売れているように見せている

◆ユーザーが騙される&不利益に思われる要因

  • 勝手にカートに入るため、ユーザーが間違えて購入する可能性がある
  • 出どころが不明な情報であるので、正確性が無い
  • 在庫がわずかと書いてあるが、固定文で実際の在庫数を反映していない

④ 有料オプションのデフォルト表示

購入時にギフト用の包装サービスや定期購入等のユーザーが是非喜んでくれるようなオプション(有料)がデフォルトでONとなっている。

オプションを外す際には、一度考え直す旨をユーザーへ伝えるアクティビティメッセージを必ず表示する。
不要にするためのチェックボックスは最初外した状態である。

貴方のことを考えて厳選したより良いオプションです。


ダルマ用座布団オプション(+¥5000)は本当に必要無いですか?

不要?

◆コンバージョン&利益に繋がる要因

  • より多くのオプションを付けることで単価を上げる

◆ユーザーが騙される&不利益に思われる要因

  • 不要なオプションを外すためにいちいちメッセージを開かないといけない
  • デフォルトでONになってるため、すべて外すためには時間がかかる
  • メッセージ内のチェックボックスの不要のチェック無しなので、間違える可能性が高い
  • テキストの色も薄い状態でまるで選択不可かのように見せかけている

⑤ 送料別ノベルティへの誘導

『ダルマ選びドットコム』で一度の会計で10個以上注文したユーザーには、無料で特別製の「金のダルマ(木製)」が必ず送られる。
特別製の「金のダルマ(木製)」は通常の注文とは別で郵送(送料別・手数料込)される。

◆コンバージョン&利益に繋がる要因

  • 特別感のある「金のダルマ(木製)」を狙うユーザーは10個以上注文するので、利益率を上げれる

◆ユーザーが騙される&不利益に思われる要因

  • 特別製の「金のダルマ(木製)」は実は送料が通常より高くなっているため無料の意味が無くなっている
  • 送料や手数料の情報をギリギリまで表示させないことでユーザーにとって不利益な情報を隠す

⑥ 購入後の会員登録

商品購入画面では、名前、住所、メールアドレス、電話番号、国籍、性別、ダルマに対するアンケート、ダルマ職人さんへのメッセージへの入力が必須項目になっている。

購入後、『ダルマ選びドットコム』会員登録したとみなし、登録したメールアドレスへは『ダルマ選びドットコム』からのキャンペーンメールと住所へ『ダルマ選びドットコム』からの広告チラシが勝手に毎日届く。

退会の処理は、サイト内の見づらい箇所のリンクからでしか行うことができないようにする。

◆コンバージョン&利益に繋がる要因

  • キャンペーンメールやチラシからサイトへ来てもらうことでユーザー流入を期待
  • 安易な退会を防ぐことで機会を増やす

◆ユーザーが騙される&不利益に思われる要因

  • 必要性の薄い必須項目が多い
  • 大抵のユーザーは複数回の購入を望んでいないので、そもそも購入後のユーザーに対する広告自体が不要
  • 登録した覚えがないメールや手紙が殺到し、退会もしづらいためユーザーは不満

▲そして、炎上へ…

まとめ

ポイントと称して、いくつかの事例を出してみましたが、皆さんはどう思われましたか?

何か見たことある機能が多い気が。。。
実は筆者も愛用しているAmazon等でも、こういった『ダークパターン』を利用して収益を上げてるWebサイトの事例は多いようです。
(参考:https://www.webprofessional.jp/dark-ux-dirty-tricks-and-tactics-to-avoid-in-2017/

ダークパターンを使うと短期的な利益は得ますが、ユーザーからの信頼は「何だこのサイトは」と失ってしまうことが増えます。

そのため、中長期的に見た場合はダークパターンとならないようなデザイン設計をしたほうが良いと言えます。

もしかしたら、皆さんが普段利用しているWebサイトでも上記のポイントに似たような箇所があるかもしれません。

ドコを直せばユーザーが使いやすくなるのか?を考えてみて、修正案を考えてみると良いかもしれないですね。

本来とは逆の視点である意味ユーザーを困らせるようなギミックを考えるのが意外と難しかったので、こういったものをあえて考えてみることによって違った視点から考えるきっかけになったり、実は思わぬところでダークパターンとなってるぞと気づく機会になるかもしれません。

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この記事を書いた人

林田 有司
プロダクト開発本部 開発チーム
林田 有司

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